shadow Line

隠し剣孤影抄を読了。

これは存外に面白かった。
秘剣、即ち有り体に言えば必殺技を話の核として、人間模様を絡ませて語るという短編小説なのだが、その文体の冴えも見事ながら核である秘剣の妙もまた素晴らしい。
隠し剣鬼の爪は映画化されているが、これは俄然見たくなった。
とはいえ、方々で絶賛されている「たそがれ清兵衛」が個人的にはいまいちだったこともあるので、あまり期待はしないで見た方がよさげ。
原作は文句なしに面白い。
時代小説の面白さは、断然その高いエンターテイメント性にあるのだろう。
主人公が剣の使い手ならヒーロー性が付加されるし、そこに人間模様も活劇を盛り込むことも出来る。ただの町人でも、その生活風景の描写で叙情を描くことも出来る。
恋愛もありだ。そして封建社会ならではの、設定の「枠」がある。封建社会を逆手に取れば、圧倒的に強いはずなのに社会的地位は低い、といった立場の歪みを作ることが出来る。
そういった「歪み」はリアリティと物語としての面白さを生む源になる。
表舞台に立つヒーローではなく、ひっそりと市井に忍ぶ英傑、そんななじみやすさもまた時代小説の面白さの一つだ。
そういう意味では、仮面ライダー響鬼は時代劇のテイストがある、とも言える。
元々特撮自体が時代劇の要素を色濃く残しているものだが、響鬼はその傾向が強い。
響鬼を面白い、と感じるのはそういう時代劇の要素とヒーローものというダイナミズムの見事な融合があるからなのかもしれない。

今日のweb拍手回答。

>翡翠の校庭
え、えーと、確かほらここに原稿が、アレ?…………(だんだん後じさっていく)

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