shadow Line

こぼれ話

さて
完結編を上梓してから一週間経ち、いろいろと感想を頂いています。
こんな超低速更新の作品を見捨てずに見守って頂いているのはありがたいことです。
 
そんなわけで、ちょっとした小ネタを。
 
今回の完結編は、当初から予定しておりました。
銀の欠片で一度止めたのは、たびたび言及していましたように、卑金属から貴金属と変わる過程を示したかったからです。
故に、鉛の足枷から始まり、黄金の環で終わらなければならなかったのです。
翡翠の箱庭に、テーマめいた物があるのだとすれば、それは一つ「人は己自身で己を救わなければならない」ということです。
他人は手助けできますが、その人を本当に救うことが出来るのはその人自身であり、救いとは固まった概念では無く時には結果ではなく過程の中で見いだせるものであったりします。
窮極的には、「満足して死ねること」が救いだとは思っていますが、死を前提としなくても「足るを知ること」「いま自分に手に入る物が全てであること」が救いになることは多く、また「己自身を許容すること」もまた一つの救いであるといえましょう。
ひとつの仕掛けとして、六道の内面の描写が「事象」から「個人」へと移っていくことでそれを表現したかったのですが、まあそれが上手く行っているかは読まれる方の判断にお任せすることとします。
とはいえ、六道の視野が外の世界に向いた時点で、閉じた世界は綻びていきます。
故に、この物語は「箱庭」から完結し、いっさいの幕となるわけです。
 
まあ今読み返すと初期の作品は顔面蒼白になるほどやばかったりするわけですが。
こういうのを直し始めると時間がいくらあっても足りませんので、其処はそれ、稚拙なままで良しとします。
とりあえず、前に進まなければ。
 
願わくば、この作品の時間が皆様にとっても心地よきものでありますよう。

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