shadow Line

図書雑感

ジョン・R・ランズデールの「凍てついた七月」を読み終えたりした。
この人の「ボトムズ」は読んだことがあったのだけれども、個人的な好みとしては「凍てついた七月」の方がコンパクトにまとまっている感じだ。
なんとなく、この人のテーマは人生における救済、と言う気がしないでもない。
勝手にそう思っているだけなのだけれども。
 
帰りしなに借りていった村山由佳の「ヘヴンリーブルー」も帰りの電車で読み終えてしまったので、また何か借りてこないと。
ヘヴンリーブルーは、天使の卵と天使の梯子を読んでないと全然判らない、長いエピローグという感じの作品。
突然の別れには、こういう形の救いもあるのかもしれない。
村山作品の常として、そこに描かれる人は皆一生懸命だ。眩しい。
そのひたむきさが、物語の輝きなのだろう。
 
別れと言えば
山本文緒の「みんな行ってしまう」という本はタイトルが怖くて手に取れない。
この人の本はほとんど読んできたのに、これだけは怖い。
なぜなら、今までの人生で私は何も手に入れていない。
みんな何処かへ行ってしまう
そんな感覚で今もまだ満ちあふれているのに、そんな事と同じタイトルの本がある
その事実だけですでに恐ろしい。
でも
きっとみんな行ってしまうのは避けようがない。
誰からも必要とされない。
恋人も結婚も家庭も存在しない。
今ある恋も追いかけるほどに遠のいていく。
必死で掴んだと思ったものはみんな手からこぼれていってしまう。
本当に欲しいもの「だけ」は決して手に入らない。
 
只のジンクスなのだけれど。
でもそいつは30年ずっとまとわりついている。
真綿で首を絞められて、今日も少しずつ死んでいく
そんなことを幻視する。
 
「みんな行ってしまう」くらいなら「そして誰もいなくなった」の方がいくらかマシな気がする
タイトル一つでどこまでも飛躍する、図書館の一日。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA