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国立・地獄の部屋

そういえば色々物議を醸している国立メディア芸術総合センター
見直し論も色々出ているようで。
 
国立の漫画喫茶とか色々イメージが先行していて
実態が見えないのがちゃんとした議論の妨げになっているような気がするのですが
まあいろいろな駆け引きの道具になっていることはさておき
「資料収集は必要か否か?」という点のみ問われれば図書館員としては是であるとしか言えません。
 
漫画にしろセルにしろ『それに一体何の価値があるのか?』という問いはあると思うのですが
そもそも物の価値というものはひどく主観的な物でありますから
普通の人が「落書きみたい」と感じたものであったとしても、そこに何らかの研究対象としての価値を見いだす人もいるわけです。
つまり文化保護という観点から見れば「価値云々はともかく網羅的に収集する」事を前提として資料収集はすべきである、とは思います。
「これは大事」「これは不要」という選別はすべきでなく、やるなら全部。
つまりやるとなれば可能な限り原本なり複製物を収集すべきで、
たとえそれが発禁になった物であろうと猟奇的内容であろうと
反体制であろうとなかろうと
エロ漫画だろうとエロアニメであろうとお構いなく
全てを集めるべきです。
 
国がエロい物集めるなんて不届きな、と思われる方がいるとは思いますが
以前日記にも書きましたがフランスの国立図書館には通称「地獄の部屋」と呼ばれる発禁になった官能小説ばかり集めた部屋があり
研究者がそこに立ち入って調べたおかげで古典的名著が発掘されたという例もあります。
ついでに言うなら国立国会図書館にはエロ漫画もちゃんと納品されています。全部ではないみたいですが。
 
むしろ国立メディア芸術総合センターなどというものではなく
国会図書館の分館として網羅的にアニメとか収集する組織を作ってしまう方が
割と文化保護になったりするんじゃないかなあ、と思ったりもしました。
意義としては全くの同一であってもいいとは思いますが
漫画をすでに収集している国会図書館と連携した方が組織としてはうまく行くんではないかなあ、と。
 
作るか作らないかはこれから先も審議の対象になって揺れていくのでしょうが
反対の人の意見も賛成の人も意見もどちらも正論であるので
是非とも有意義な結論が出て欲しいとは思います。
図書館員としての立場ではなくても、あって然るべきだとは思いますが。

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