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幻想 怪奇 モノクローム

モノクロームという単語は単色を意味しますが
これを心の有り様として表現する、あるいは意味するというのが個人的に好きです。
曰く
「熱情」
「崇拝」
「美化」
といった、強烈で単一ベクトルに向かう感情や心理は、物語に於いて無くてはならないものだ、という認識があります。
モノクロというと白黒のことだ、と思われがちですが、
実際の所は「モノ」つまりそれ自体で存在できる色なので、赤だけ、とか青だけ白だけというような色合いもモノクロームには含まれます。
色については指輪物語のガンダルフとサルマンの会話が好きですが
色をこのように公然と会話に組み込むのは難しく
まだまだ自分はその域に達してないなあ、と思う次第です。
 
モノクロームについて書いたのは
雪国の話をしていてふと新潟にある我が家の墓へ行ったときに立ち寄った美術館で
「トミオカホワイト」という白のみで雪国の全てを表現しようと試みた画家がいたことを
ふと思い出したからなのでした。
 
埼玉は雪の降ることは少ないので
白の世界にまつわる苦労については無知という他はありませんが
それでもあの、純白に魅せられるのは判る気がするのです。
 
雪と言えば忘れられないのが、
5月の連休に奥多摩へ行ったとき
突然吹雪に見舞われ、夏用の軽装だったので酷い目にあったこと。
目の前でみるみるうちに樹氷が形成されていくとき
綺麗だな、と思うと同時に強烈な死の危険が迫ってくることを感じた
あの瞬間を形容するのは、やはり言葉を持ってしても難しいのでした。
 
そして今何故そんな事を思い返しているのかというと
ストーブの灯油が切れたからです。

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