shadow Line

唐突に本のお勧めなどを

ここのところ、色々なSF小説を読んでいる。
無論、資料も兼ねているのだが、最近またSFがいい感じになってきていると思う。
小松左京賞の作品はどれも面白い。
個人的主観ではあるけれども、

エリ・エリ (ハルキ文庫)

エリ・エリ (ハルキ文庫)

これは本当に凄かった。
宇宙と宗教に関する若干の知識は必要ではあるけれども、「神とは何か」というテーマをこれほど上手く書いた作品はないように思う。
この「エリ・エリ」に限らず、この人の小説は読んでいて気持ちいい。
それは、全く無関係と思われた事象が、後半にかけて一挙に収束し、解放されていくカタルシスがあるからだ。
近現代において、神が「物理的に」出現したという記録はない。
では神とは何か。イエスやムハンマドや仏陀を導いた「存在」とはいったい何なのか。
そもそもそれは「存在」なのか。
そんな疑問を持った人にとっては、非常に面白い探求の旅になるだろう。
これを読んで興味が出たのなら続編である
レスレクティオ
物語の時間軸はそれよりも前になるものの、事実上の完結編である
黄金の門
も一読されると、その深さを堪能出来ると思う。

個人的には、救われないサイキック物の
約束の地
これもオススメ。
やはりサイキックは救われない存在であるほうが良い。
「優れた存在である」サイキックが、「劣等種」である人類によって迫害されていく過程は、不気味さだけでなく現実においての偏見に対する皮肉とも取れる。
「七瀬再び」もそうだけれども、青春超能力物はいつか書いてみたい題材だ。
 
SFは探求である。
読者を、作者個人の探求の旅にどれだけ上手くエスコート出来るかで、その面白さが変わってくる。
知的好奇心と冒険心を同時に満たす、希有な美酒なのだが身近に読んでいる人が少ないのが難点だ。
スペースオペラだけがSFではないんだがなぁ。

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